お米作りに肥料が必要なのか?|植田自然栽培米
こんにちは!自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田敦之です。
お米作りにおいて農薬や肥料は必須だと考えられています。実際に99.5%以上の方は使用しています。しかし、水田に農薬と肥料を頻繁に使われ出したのは戦後の75年ほど前からです。
肥料が無いと農産物は育たないと思う人も多いでしょう。実際、私も農業の勉強では施肥設計を学び、肥料が必須という前提でした。
でも、よく考えると3000年以上続く稲作の歴史の中、肥料を使用しだしたのは最近です。本当に肥料は必須なのでしょうか?
無農薬・無肥料の自然栽培でお米を作られている農家さんに自然栽培水田の実際の現場を見させて頂き、動画でも実情をお話頂きました。
植田自然栽培米とは?肥料と農薬の関係とは?
植田秀幸さんは、熊本県玉名市で無農薬・無肥料の自然栽培米を15年以上にわたり続けています。
元来、自然界は私達に必要なものを供給してくれる存在であり、植田さんも江戸時代の農法を見習って農薬も肥料も使用せずに栽培しています。
しかし、植田さんのように自然栽培米作りに取り組む米農家さんはごく少数で、現在では99.5%の農家さんは農薬、化学肥料を使用していると言われています。
戦後に化学肥料が広まり、一時的に生産量は増大しました。しかし、同時に農薬使用量も増大しました。肥料と農薬は実はセットなのです。
農業の実際の現場を見ると、肥料を多く使用すると病害虫が発生しやすくなるのが分かります。その病害虫を殺すために農薬が必要となるのです。
土壌に地力があるうちは増産できるのですが、農薬で微生物を殺すため土の地力が低下し、さらに肥料が必要となる。さらに病害虫が発生するので農薬が必要となると「負のスパイラル」に入ります。
では、実際に肥料や農薬を全く使用せずに育てた稲はどうなっているのかを見させて頂きました。
実際の無肥料栽培の稲を見る
今回、植田さんに見させて頂いた田んぼは、無肥料栽培歴が15年以上です。上の写真のように元氣に育っています。
農薬も肥料も15年以上抜いているのですが一般の農薬・肥料を使用する慣行栽培の稲と大きな差は感じません。
植田さんに平均収量を伺うと、6~7俵/反だそうです。一般の慣行栽培の平均収量が9俵/反なので、7割程度ではあります。
しかし、石油価格の高騰で値上がりしている農薬代や肥料代のコストがゼロなので、結果的には経済的にも差は無いように思います。
農薬や肥料を使用せずともなぜ6~7俵/反も収量があるのか?その違いは目に見えない所にあります。
大きな違いは「土」の違いか?
一般的に米作りには肥料が必要と言われてきましたが、実際の現場を見ると必要ないように思います。
しかし、慣行栽培を続けてきた人が肥料を止めるとどうなるのか? おそらく一気に収量が減るでしょう。
なぜなら最も肝心な「土」が疲弊しているからです。植田さんの自然栽培水田と慣行栽培水田との大きな差は「土」にあります。
土に触るとすぐに分かりますが、明らかに違います。
土の比較写真を載せますが、見た目で違いが伝わりますでしょうか?
自然栽培の土は保水力があり、柔らかいのです。一方、農薬・肥料を使用した慣行栽培の土は、ガチッとしており硬くなる傾向にあります。
この違いを生んでいるのは「有機物」と「微生物」です。
土の生成の歴史を見ると、土は有機物と微生物の働きから生成されているのです。この2つの存在を尊重することで、環境に優しい持続的な農業ができるようになるのです。
慣行栽培の農薬や肥料の使用は、短期的な生産性を重視しており、微生物の働きを無視してきた側面がありますが、自然栽培米農家が徐々に増え、時代は変わってきているように思います。
お米作りに肥料が必要なのか?
最後に:お米作りに肥料は必要か?
戦後に植え付けられてきた肥料信仰は、なかなか払拭することは難しいです。実際に農薬よりも肥料を断つ方が難しいのです。
動画で植田さんが仰っていたように、肥料を使用するから虫が発生し農薬が必要となります。
一般に農作物を食害する虫を害虫と呼びますが、別の見方をすると、肥料を吸収した農作物は不自然だと虫たちは知っており、それを人間に食べさせないように分解して糞にして土に戻そうとしていると私は考えています。
人間も食べ過ぎる(肥料を摂り過ぎる)人は病気になりやすく、薬が必要になるサイクルと似ています。
日本は稲作3000年以上の歴史があると言われており、肥料を積極的に使い出したのは戦後の75年ほど前です。本当は、あえて肥料を使う必要はないのではないか。と現場を見て思います。