有機栽培米から自然栽培米作りに変えて感じる変化とは?

更新日:2025年2月2日 公開日:2025年2月2日

桑原自然栽培米の稲

こんにちは、自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田敦之です。

現在、全農産物の約0.6%が有機農産物と言われていますが、無農薬かつ無肥料の自然栽培農産物に関しては、詳しいデータはありませんがおそらく0.05%もないでしょう。

有機栽培では有機肥料が認められていますが、自然栽培では肥料の使用が認められていません。有機栽培と自然栽培の間には肥料の有無という点において大きな壁があります。

今回、熊本県球磨郡の女性の自然栽培米農家の桑原とも子さんに「有機栽培から自然栽培米作りに変えて感じた変化」について伺いました。

実際に長年お米作りに携わってきた農家さんの貴重な意見ですので、最後の動画も一緒にご覧いただければと思います。

 桑原さんの有機栽培米と自然栽培米の栽培歴

自然栽培米農家桑原とも子

熊本県球磨郡の桑原とも子さんは、現在約8町で自然栽培米を作られています。

桑原さんは食や自然環境への意識が高く、1989年から無農薬での栽培を開始しています。

当時は無農薬での栽培ですが、米ぬかを使用したぼかし肥料を用いた有機栽培米を作っていましたが、より純粋なお米作りを目指し、2016年から無農薬・無肥料の自然栽培に切り替えました。

今回は、桑原さんに有機栽培から自然栽培米作りに切り替えてから感じた変化について伺いました。

有機栽培から自然栽培に変えて感じた変化

桑原さんが自然栽培に変えて感じた変化は主に3つあと言います。それは、お米の質田んぼの生物量の変化です。

 お米の質の変化 – くず米の減少

くず米

籾摺り後の玄米を米選機(ライスグレーダー)に通すことで、玄米とくず米に選別されます。くず米とは、粒径が小さいお米や欠けたお米、未熟米などのお米です。

桑原さんは、自然栽培に変えたことで、この米選機で除かれるくず米が減ったと言います。

有機栽培米の時は、桑原さんの家では約50袋のくず米が出ていましたが、自然栽培に全面積切り替えた今では、5袋ほどしかくず米が出ないと言います(栽培面積はほぼ変わっていません)。

お米の味の均等化

桑原自然栽培米のご飯

桑原さんは毎年お米の収穫時にお米を味わうのを楽しみにしています。

自然栽培米に変えてからは、有機栽培米を作っていた時に比べて、圃場ごとの味の変化が少なくなり均等化してきていると言います。

この圃場ごとの味の均等化は無肥料栽培が影響していると考えられます。味に変化を与える肥料を全面積で使用せず、田んぼの土の養分のみで育てるので圃場ごとの味が均等化しているのかもしれません。

田んぼの生物量の増加

自然栽培米水田のミミズの糞

※上の写真は、桑原さんの田んぼで見られたミミズの糞の塊

桑原さん曰く、有機栽培米を作っていた時もクモやカエルなどはいましたが、自然栽培に変えてからは「クモやカエルだけでなく、草の下を這う虫の量が増えた」と言います。

また、冬に田んぼに行くと上の写真のようにミミズの糞の量が多く見つけることができます。つまり、田んぼに有機物が多く、生物量も多い証拠なのでしょう。

自然界にお任せしてお米を作る

桑原とも子さんと稲

私は多くの自然栽培米農家さんとお話をする機会がございますが、多くの方は感性が豊かです。

動画をご覧いただくと、桑原さんの感性の豊かさを感じて頂けるかと思います。

桑原さんは草や虫たちと戦うのではなく、それらを受け入れて活かす姿勢でお米を育てています。自然界にお任せしてお米を育てることが一番確実だと感じているそうです。

現代農業では、人は農薬や肥料を用いて農作物の生育をコントロールしようとしますが、桑原さんは自然の摂理に従ってお米を育てることを大事にしているようです。

自然栽培に変えて感じた変化

桑原さんに有機栽培から自然栽培に変えた後に感じた3つの変化に関してお話し頂きました。

 まとめ:自然栽培米に変えて感じる変化

今回は桑原さんに「自然栽培米に変えて感じる変化」に関して伺いましたが、他の自然栽培米農家さんでも同様の変化を感じたと聞くことがございます。

1. くず米の減少
2. 味の均等化
3. 田んぼの生物量の増加

一般に自然栽培米は農薬や肥料を使用しないため、病害虫の被害を受け品質が悪く、収量がゼロになることもあると考える人もいるでしょう。

確かに、一般の慣行栽培から自然栽培に変えた場合、初めの3年ほどは、これまでの農薬による土壌の劣化、生物量の減少のために病害虫の被害が広がりやすく、収量が取れない時期もあるかと思います。

しかし、多くの自然栽培農家さんを見てきましたが、3年ほど自然栽培をすると田んぼに生物が復活し、収量は慣行栽培の6割ほどになる傾向にあります。

農薬や肥料で農産物の生育をコントロールするか、もしくは、自然に任せて作物の自立を手助けするか。自然栽培の場合は、田んぼに住む生物達が品質の安定のために働いていてくれているようです。

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