自然栽培米の苗作りの課題|冨田自然栽培米「菊池の輝き」・ヒノヒカリ

更新日:2023年8月9日 公開日:2021年6月29日

苗床作業-コントラスト

こんにちは!自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田です。

今年も行いました「苗床」作業
毎年のことでありながらも、米農家さん曰く「一年で最も緊張する作業」です。
何故なら、この苗床作業で良い苗を作れるかどうかは、その年の収穫量に大きく影響するからです。

一年で最も大事ともいわれる苗床作業とは、いったいどんな作業なのか??

今回は、5月中旬頃に行われた熊本県菊池市七城町の自然栽培米農家・冨田さんの苗床作業の様子をお伝えします。

「苗床」作業ってどんな作業なの?

苗床作業は、播種した苗箱を上の写真のように並べていく作業です。

冨田さんの場合は、約2100枚の苗箱を用意してみんなで並べていきます。

この作業は、みんなの助け合いがないとできないので、5月中旬頃になると地域の方が助け合いながら苗床作業をする風景を目にしますね。

苗床作業をする前に、まずは播種作業ですね。
苗床作業の1週間前には播種作業を開始して苗箱を準備しています。

播種作業

冨田播種

播種機は手動式から電動式と多種類あります(写真は手動式)。

自然栽培米農家さんのこだわりは、この苗箱に詰める育苗土です。

一般には、この育苗土に肥料分を入れます。もちろん苗の初期成育を促進するためですね。

しかし、自然栽培米作りでは、無農薬・無肥料が基本となっているため、肥料分の無い山土を使用します。

こうして用意された2100枚ほどの苗箱を事前に準備しておくのです。

助け合いで並べていく苗床作業

2100枚の苗箱を写真のように並べていきます。

昔ながらの助け合いがないと到底できない作業です。

冨田さん曰く、「苗箱はあかちゃんを抱っこするように優しく」です。

ちょっとした重さとは言え、2000枚以上なので結構な力作業で腰が痛くなったりします^^;

子どもたちも手伝ってくれて楽しく苗箱を並べていきました。

最後にラブシートをかけて苗を保護

並べ終えた苗箱の上にかけるラブシートとは、不織布のことです。

ラブシートの目的は、保温と保湿、そして鳥などの食害から守るためです。

このラブシートは、初期の生育には必要で、このシートをはがすタイミングもまた大事なのです。

米農家さんにとって苗床作業とはどんな意味合いを持つのでしょうか?

「一年で一番大事。緊張する、集中力使う、体力使う」

毎年行う作業ではありつつも、米農家さんの本音は「常に気を使うし、ちゃんと芽が出るのか?不安」なのです。

その年の品質や収量が、この苗の出来具合である程度決まってしまうとなれば
米農家さんとして気の抜けない大きな意味合いを持つ作業なんですね。

強い苗をつくる!今年の課題はこれ。

冨田和孝苗床作業

昨今、異常気象が続き、試練の年が続いています。
昨年は、長雨の影響を受け、かつてないと言えるほどの収量減となってしまいました。

記録的な豪雨などは、地球温暖化の影響と言われています。
近年の気候変化は農業、稲の品質等も大きな影を落とし始めています。

このような事情から、冨田さんの今年の課題は

「強い苗をつくる!」

と銘打ち、苗床作業にも工夫を取り入れました。

いつもの年よりも1週間早く苗床作業を始めました。
苗床での生育期間を長くしてみたり(35~40日)、ラブシートを剥ぐタイミングを1週間程度の差をつけて、成長を比較しています。

自然栽培米農家さんは、無農薬・無肥料での栽培方法なので
このようなたゆまない実験的施策と経験則が重要なポイントとなるのですね。

番外編:苗床作業でアーシング

泥-素足

私は苗床作業の時は、裸足になるようにしています。実はこれが気持ちいい!

健康法の一つに、体に帯電した電気を地球に逃がすために裸足で土の上を歩くという「アーシング」があります。

これは、当たり前で、人類誕生以来人間は、大地に足手を触れて生きてきたのです。現代生活は歪で、地球と触れることから絶縁されている状態です。

今回、苗床作業を手伝った大人も子ども達も、苗床作業は、大変な作業なのですが、気持ち良いと感じて作業をしていました。

このような土と触れる体験が本当は最も貴重なのですね。

2021年、苗床作業のまとめ

今年2021年の熊本県の梅雨入りは早く、観測史上2番目の5月15日に梅雨入りしました。
これはいつもの年より2週間以上も早いのです。昨今は、本当に読めない気象です。

しかし、そのような環境下でも柔軟に対応して苗作りをしていく必要があります。

昔から「苗半作」といわれ、その年の稲の出来不出来はこの「苗床作業」に大きく左右されます。

それだけに「いかに強い苗をつくるのか?」これを試行錯誤して
自分の育苗技術を磨き、確立する、ということを冨田さんは今年の課題としました。

結果は、すぐにはできませんが、この経験を蓄積していくことが、次世代に自然栽培米を広げていく上で大事なのです。

近年は天候、気候が予想できないような事態として毎年のように起こっています。
それにも負けない、コロナにも負けない、強い気持ち、そして強い苗!
みなさんの食卓に生命力の溢れるお米をご用意できるように精進していきます!


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