味だけじゃなく手触りも違う!自然栽培ヒノヒカリが持つ自然のパワー
現在、日本で流通しているお米のうち、およそ9割は化学的な農薬や肥料を使用した慣行栽培によるものです。
一方、自然栽培米は農薬・肥料を一切使わず、自然の力だけで育てられる稀少な存在。流通割合は全体の1割にも満たない状況とされます。
熊本県菊池市をはじめとする清らかな湧水と肥沃な土壌を持つ地域では、古来より米作が営まれてきました。
特にヒノヒカリは九州を代表する人気品種として評価が高く、その自然栽培米は注目に値します。
今回は自然栽培ヒノヒカリの魅力について、自然栽培と日本の米産業動向とともに深堀。
ぜひ参考にし、これからの食生活に役立ててください。
自然栽培米ヒノヒカリは甘みと粘りのバランスがとれた冷めても美味なお米
冨田さんが自然栽培で作っているお米は、1989年から、福岡や佐賀などで作付けされ始めたヒノヒカリです。
ヒノヒカリは、今や九州を代表する美味しいお米として人気があります。
コシヒカリよりも価格は安く、さらに食味の良さと厚みのある丸い粒が常用米として多くの人に支持されています。
このヒノヒカリを、冨田さんは無農薬・無肥料で作っています。
冨田さんの自然栽培ヒノヒカリを手ですくうと、サラサラとしていながら、一粒一粒に弾力があるのがわかります。米粒をよく見ると、綺麗に形の揃った、丸く艶やかな粒です。
洗米するときの手触りは張りがあり、一粒一粒に栄養がぎゅっと込められているような、確かな手触りを感じます。
大地と太陽の恵みを受けて育った自然栽培ならではの生命力溢れる感触です。
洗米時には米ぬかが浮いて流れやすく、しっかり水洗いすることで雑味のない純粋な味わいが引き立ちます。
炊き立ては豊かな香りがし、米粒もツン。自然栽培ならではの繊細な甘みと程よい粘りがあり、胃もたれせず食べやすい特長があります。
冷めたあとでも味や粘りが損なわれず、チャーハンやカレーとの相性も抜群です。
食べ続けても飽きの来ない、毎日の食卓に欠かせない主食といえるでしょう。
最新統計から見る自然栽培と日本の米産業動向
2020年時点で、有機JAS認証を取得した米の割合は国内農産物全体の0.1%程度。これは野菜(0.39%)や茶(5%超)に比べかなり低い普及率です。
自然栽培米になるとさらに希少で、市場シェアはごくわずかに留まります。
令和5~6年の統計によれば、日本のコメ農家の平均経営耕地面積は約2ヘクタールと、小規模経営が中心です。生産効率では米国(約147ヘクタール)やオーストラリア(約75ヘクタール)に大きく劣ります。
一方、2021年施行の「みどりの食料システム戦略」により、農業の環境負荷軽減や持続可能な食料生産が国家戦略に定められました。
過剰肥料や農薬使用による生物多様性の損失や水質悪化を防ぐ取り組みが進展中です。
参考:農林水産省「有機農業をめぐる事情について」
参考:農林水産省「米をめぐる状況について」
参考:帝国データバンク「「米作農業」の倒産・休廃業解散動向(2024年1-8月)」
参考:農林水産省「令和5年度 食料・農業・農村白書 骨子案」
自然栽培ヒノヒカリの価値とは
自然栽培とは、農薬や化学肥料に頼らず、土の自力を最大限活かす栽培法です。
農家自身が栽培状態を確認しながら、自家採種を続けた種籾から育てる、手間暇かけたこだわりのお米作りなのです。
自然栽培米の平均収量はおよそ5.5俵/反(約330kg/10a)。明治期の水準(約3俵)と比較すれば改善も進んでいることがわかります。
慣行栽培の水準と比べればやや低いものの、時間と工夫を盛り込むことで十分な量の確保が可能です。
また、自然栽培は微生物物が活きる土壌を育み、水・土・生態系の保全につながります。
農業が直面する高齢化や後継者不足の課題に、自然栽培の普及と直販モデルが一つの解決策となりつつあるのです。
参考:論文「自然栽培農法による地域づくりが成功する社会経済的条件の研究 : 経済採算性、マーケティング、学習・ネットワークモデルを中心に」
まとめ
冨田さんの自然栽培ヒノヒカリは、熊本県の清流と土壌の恵みを背景に、農薬・肥料に頼らず育てられた貴重なお米です。
触れて、香って、味わってこそ感じられる生命力と純粋な美味しさがあります。
その一方で、日本全体では自然栽培や有機栽培米の生産は今だ極めて限定的です。
生産者の経営課題や市場構造の問題も依然として大きく、消費者・生産者・行政が連携し、持続可能な農業モデルを育む必要があることを最新統計が示しています。
清らかな水と肥沃な土壌に恵まれた熊本県で、自然栽培が身近な農業として広まることを願うばかりです。
私たち「ナチュラルスタイル」は自然栽培の現状や考え方を広く知ってほしいと思っています。
今回の記事が参考になりましたら、ご自由にこの記事をシェアー下さい。
【参照元】味だけじゃなく手触りも違う!自然栽培ヒノヒカリが持つ自然のパワー