稲を手植えすることで得られる意外な効果とは?

手植え

春が終わり、少しずつ暑さが増してきました。
爽やかな初夏のもと、田んぼではいよいよ田植えが始まります。

自然栽培では、冬から春の間に
土の中の菌や微生物が、活き活きと暮らせるよう土の中の環境を整えたり
春草を鋤き込んで土の中に養分を作り出したりし
田植えに向けた田んぼの環境作りを行います。

田植えは今では、機械で行うのが慣例ですが
昔は人の手で一本一本、植えていました

なので、今よりもとても時間がかかっていましたし
腰をかがめて行うので、労力もかかっていました。

でも手植えには
想像もつかない効果が期待されているんです。

手植えは古来の行事に結びつく神聖な作業だった

田植祭

機械化が進み、効率が良くなった田植え。
日本で田植え機が普及したのは、1970年代です。
機械が導入されたのは、つい最近のことなんですね。

機械がない時代、苗は人の手で一本一本植えられていました。

昔の手植え作業はどのようなものかというと
まず、苗を等間隔で植えられるよう
男性たちが田植定規(たうえじょうぎ)という道具を使い田んぼに目印をつけます。
次に、早乙女(さおとめ)と呼ばれる女性たちが、腰につけた苗かごから苗を3~4本とり
真っすぐに植えてゆきました。

早乙女

田植えは、女性の仕事だったんですね。

わたしたち日本人の祖先は、稲は神様によって作られると考えてきました。
そして、稲に実りをもたらす神々への信仰が始まり、祭礼も行われてきました。

その祭礼の一つに、御田祭(おんださい)があります。

大昔の御田祭は、稲の生育と人間の生殖をなぞらえた演舞でした。
そして、後日行われる御田植祭(おたうえさい)において
神に仕える早乙女が田植えをすることで、子孫繁栄を願ったといいます。

稲には命の源が宿ると考えていたことからこのような祭礼と結びつき
命を生む女性が田植えをすることで、神様を祀ると同時に命を尊び
自分たちの命が代々続くことを願っていたんですね。

手植えは体にとって良い効果が期待できる

田植え

手植えは、長時間腰をかがめる作業なので
体にとても負担のかかる、きつい作業でした。

でも、手植えで植えた苗は、機械で行うよりも
分げつが多く、成長のスピードも速い傾向にあるといいます。

また、泥に手足をつけることで
免疫機能も向上するという研究結果もあります。

現代に生きるわたしたちの社会は都会化が進み
土から遠ざかった環境にいることが多くなりました。

そして、ウイルスや病原菌の感染防止のため
あらゆる場面で殺菌・除菌をし、清潔を保っています。

しかし、あまりに清潔でいることは
ときに体にとっては良くないこともあるのです。

海外で行われた研究によると
土の中の菌や微生物には、免疫調節機能
ストレスに対する抵抗力があることが確認されているそうです。

自然界に生きる動物はや農村部に生きるこどもたちは
病院や薬がなくても、元気に暮らしています。
これは、土に触れる時間が多いからだと唱えられています。

手植えによる補植を行う自然栽培農家

ブレスト米田植え

自然栽培は、無農薬・無肥料で作物を育てる農法です。
人類が稲作を始めたときと同じ農法です。

自然栽培では、除草剤も使いません。
しかし、除草はしなくてはなりません。

そこで活躍するのが
苗を食べる害虫として広まってしまったジャンボタニシです。

ジャンボタニシの生態を除草に生かし
さらに、田んぼの中の生態系を作る一員として
あえて田んぼの中に放しているのです。

ジャンボタニシ

そして、ジャンボタニシに食べられすぎてしまったところは
手植えで補植します。

補植

稲一本一本に手間暇をかけ
丹念に育てあげる自然栽培だからこそ
自然の生命力にあふれた力強い稲が育ちます。

大昔、わたしたちの祖先も
このような稲のパワーと摂り入れ、血を絶やすことなく
稲の命と共に、わたしたちの命も紡いできたのですね。