自然栽培米作りで大変だった点とは?|自然栽培歴15年平田真佐光
自然栽培米専門店ナチュラルスタイルの井田敦之です。
無農薬・無肥料の自然栽培でお米を作る農家さんは、全体の0.1%ほどでしょう。有機栽培農家数が0.5%ほどなのでもっと少ないかもしれません。
安心安全のお米作りを目指した結果、自然栽培米作りに挑戦し始める農家さんもおられますが、なかなか一朝一夕ではいかないものです。
今回は、歴史的な米所、熊本県菊池市七城町で自然栽培米を15年作り続ける平田真佐光さんに自然栽培米作りで大変だった点を伺いました。
なぜ自然栽培米が少ないのかを垣間見れるかもしれません。
平田さんの悩みやご苦労のリアルなお声をお届けいたします。
<目次>
【動画】自然栽培米作りで大変だった点とは?
自然栽培米作りを15年行ってきて感じる大変な点とは?
自然栽培歴15年は、自然栽培米農家さんの中でも経験が長い方です。
これまでの15年で中でも大変だった点、ご苦労があった点とはどんなものがあったのでしょうか?
平田さんの一言目は、
「一番大変だったのは“ジャンボタニシとの闘い”ですね。」
私はこれまで10年間平田さんの田んぼを見てきましたが、確かにジャンボタニシの食害を大きく受けた田んぼもこれまで見てきました。
そのような経験を経て、平田さんは、ジャンボタニシの生態を知り、水管理により被害を抑えるようにしています。
このジャンボタニシの食害を受けるのは、田植え後1ヶ月の間です。
その後は、ジャンボタニシが水田の草を食べてくれるので除草作業が楽になります。
今では、平田さんはこのジャンボタニシとの闘いから共存するという方向性を見い出しています。
雑草対策も大変な作業の一つ
動画の中で平田さんは「雑草」に関しても触れています。
無農薬栽培の農家さんにとって水田の雑草は大きな課題でしょう。
「ジャンボタニシ対策」と「雑草対策」は、大きく繋がっています。
ジャンボタニシとの共存には、水管理がキーになるとお伝えいたしました。
浅く水管理をした場合、ジャンボタニシの食害を抑えれます。
しかし、浅すぎると、雑草が繁茂しやすくなります。
自然栽培米農家は農薬を使用しないので、水管理だけでジャンボタニシや雑草をコントロールする必要があります。そのため経験値が必要なんですね。
もう一つの大変な点は・・・販売面
自然栽培米は、肥料を使用しません。
そのため収穫量が減ります。やっと出来上がった貴重なお米なのですが、そこで農家さんにとって大きな問題が起こります。
それが「販売面」です・・・。
実は、この販売面が大きな課題であるというのが実際の声かもしれません。
かく言う私も、農家をしている時は、どれだけこだわって作っても売れないということで悔しい思いをしました。
平田さん曰く、「一番苦労するのは販売面ですね。」
慣行栽培での稲作の平均収量は一反当たり9俵ですが、平田さんの自然栽培米は4-5俵ほどです。収量が半分程になってしまいます。
普通の慣行栽培米であれば、JAに出荷すればそれで終わりなんですが、JAに出すと自然栽培米も一般のお米として同じ価格で扱われる(もしくは、見た目の問題で二等米として扱われる)ので、こだわって作ると収入が半分になり損するわけです。
どれだけ安心安全第一で作っても購入してくれるかどうかは分からないのです。価値を分かって頂ける方を地道に増やしていくしかないのですね。
まとめ
私たちは、「日本を自然栽培大国にする」ことを目指しています。
次世代の子ども達に最高の食と環境を残したいと考えています。
しかし、現在の農薬・肥料を使用した農業から無農薬・無肥料に変えるのはそう簡単なことではありません。
今回は、自然栽培米を15年作る平田さんに大変だった点を伺いました。
主には、栽培面では、「ジャンボタニシ対策」と「雑草対策」でしたね。
そして、実は多くの人が課題にしているのは、販売面なのです。
自然栽培米農家さんができることは、自分の自然栽培米作りに磨きをかけていき、地道に自分の想いを込めた自然栽培米を食べて頂き知ってもらうしかないのですね。