自然栽培米は無農薬・無肥料で栽培するが土地は痩せないのか?

更新日:2021年2月22日 公開日:2018年12月30日

私達は、熊本県の無農薬・無肥料で育った自然栽培米をお届けしています。

私達が多く頂くご質問の一つが
「肥料を使用しないと土が痩せてきませんか?」という質問です。

戦後から肥料を多用しだし
今や肥料を使用しないと作物はできないという考え方は、当たり前となってきているかもしれません。

戦後の食料増産の流れを受け、農薬・肥料の使用が当然の世界となったので仕方ないことでもあります。

しかし近年では、農薬や化成肥料、そして多量に入れ込む有機肥料などに疑問を抱き
徐々に昔の農法に目を向ける農家さんが増えてきました。

土は作物生産の土台であり、土が痩せてしまうと収量が減少してしまうため
土作りは、全ての農法にとって重要課題です。

今回は、無農薬・無肥料で栽培すると土が痩せてしまわないのか?について一緒に考えていきたいと思います。

慣行栽培米・有機栽培米・自然栽培米の平均収穫量の比較

お米の栽培方法には、大きく分けて、下記の3つがあります。

慣行栽培: 農薬も肥料(化成、有機)使用可

有機栽培: 一部許可された天然由来の農薬使用可。有機肥料のみ使用可

自然栽培: 農薬も肥料(化学、有機)も使用不可

慣行栽培・有機栽培・自然栽培の比較

それぞれの栽培方法による平均収穫量は、
慣行栽培米の平均収穫量9俵/反、
有機栽培米は平均約7.5俵/反、
自然栽培米は平均約5.5俵/反、
つまり収穫割合は、慣行栽培:有機栽培:自然栽培=100:80:60です。

自然栽培米は、農薬と肥料を使用しないことを前提としており、自然の力のみで栽培されています。

つまり、自然栽培では肥料を使用して収穫量を上げるようなことはありません。

主に関わってくる自然界のエネルギーとは、
1) 太陽のエネルギー
2) 水のエネルギー
3) 土のエネルギーの3つであると私たちは考えています。

自然栽培歴30年以上の田んぼの収穫量は?

熊本県に自然栽培歴30年以上の田んぼがあります。

自然栽培歴30年以上の田んぼでの平均収穫量は5.5俵/反
つまり自然栽培米の平均収穫量とほとんど変わりません。

江戸時代や明治時代初期は、刈草、草木灰、牛や馬を飼っている農家は厩肥、人糞尿などを肥料として使用していましたが、基本的には地域で循環している有機物を使用していました。

江戸時代初期1600年代の平均収穫量を見て見ると約2.4俵/反、
明治時代初期で約3俵=180kg/反だったと言われています。

約280年の間で生産効率は1.25倍とそこまで劇的に増えているようには思いませんが、江戸時代に冷害に強い稲など種取りをし品種改良をしたり、作業効率化の為に各種農機具を開発したり、農業用水路を整備したりと改善を重ねていったようです。

日本では、1890年代に入ると西洋から農薬や肥料が入り、
1950年代に水田で本格的に農薬が使用され始めました。

この頃から化学肥料、有機肥料を使用し、
現在では平均9俵/反と明治時代初期から比べると約3倍にまで収量が増えました。

自然栽培においては、肥料を使用しないことが原則ですので、
収穫時のコンバインの裏から出る稲わらの粉砕物が有機補給になります。

粉砕された自然栽培米の稲わら

明治時代初期の平均収量 約3俵=180kg/反から、
現在の自然栽培米の平均収量約5.5俵 = 330kg/反を比較すると
栽培品種の改良や農作業の機械化による生産効率性向上が収量の増加へ影響しているのだと思います。

自然の力に沿って栽培する自然栽培ではその収穫量の伸び方は緩やかであることが予測されています。

自然栽培米が持続的に栽培できる理由

自然栽培は、太陽と水と土の養分とエネルギーで育っており土地を壊さず持続的な農法です。
一般的に、肥料と聞くと作物に栄養素を与える良い物というイメージを持っているかもしれません。

しかし、肥料の種類によっては、窒素分が多く、土壌を汚し、虫が寄ってくる原因となります。

肥料を使用する → 虫がくる → 農薬を使用する

虫がきて収量が減ると困るので、さらに多く収量を上げるために

肥料を使用する → 虫がくる → 農薬を使用するといった不自然な循環を作り出します。

下記の写真は、2005年に大発生したウンカの大被害の写真です。

2005年ウンカ大被害

写真は、当時、冨田さんが携帯で撮った写真なので
画像が良くありませんが、手前の田んぼはウンカの被害を大きく受けています。

しかし、奥の枯れずに残っている田んぼが
無農薬で栽培してきた冨田さんの田んぼです。

まるで境界線があるがごとく
冨田さんと一般の田んぼでは
ウンカの被害の受け方が異なったのです。

無農薬で35年以上育ってきたお米の持つ生命力と虫や病気への抵抗力が見えた時でした。

自然栽培米においては、田んぼに入ってくる栄養源は、
収穫時のコンバインから出てくる粉砕された稲わら、冬から春に生えるくさや根っこです。

それらの有機物を栄養源として微生物が繁殖し、土壌環境は豊かになってきます。

これらは、田んぼの外から人為的に持ち込む肥料とは異なり水田内で循環する有機物です。

水田土壌内では、
地上部、地下部ともに有機物が増えると土壌微生物がどんどん増えていきます。

この微生物を豊かに保つことで持続可能な農業ができます。

土壌微生物が土を作ってくれると同時に彼らの死骸もまた貴重な有機物となります。

ナチュラルスタイルでは、自然界の力のみで作られた、
食べる人だけでなく環境にもやさしい生命力のあるお米をお届けしています。

熊本自然栽培米

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